初めてのクルバンバイラム(犠牲祭)②クルバンケスメック

先週木曜日から4日間続いたクルバンバイラムも昨日で終わり、初めての経験が盛りだくさんの楽しいバイラムでした♪


その様子を、まずは順を追ってご紹介していきたいと思いま~す029.gif


9月24日木曜日、ついにクルバンバイラム初日を迎えました!

バイラムはお祈りから始まります。

朝7時頃、モスクはお祈りに来た人でいっぱいです。



7時半、夫の実家集合で、前の週末にクルバンパザールに行った同じメンバーでまた同じ場所に向かいます。(クルバンパザールの様子は前回のブログを見てくださいね♪)


前回はクルバンパザール、ということで、神様に捧げるクルバン(生贄の動物)を買いに行きましたが、バイラム初日はクルバンケスメック(=クルバンを屠ること)です。

「本当に行くの?大丈夫」と何度も念を押されましたが、心の準備は出来ています!


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むしゃむしゃ。。。

今回の屠殺の様子などの写真は一切載せませんのでご心配なく♪
でも写真が一枚もないのはさみしいので、前回のクルバンパザールの時に撮ったお食事中の羊の写真を載せました。
文章もグロテスクな表現は極力避けて書いたつもりですが、どうしてもこういう話が苦手な方はお食事の時間やお休み前の時間を避けて読んでみてくださいね。



夫は8歳くらいになったとき、はじめてクルバンケスメックを体験しました。

その頃はクルバンを斬る場所が市の指定場所ではなかったので、家の庭でする人が多かったようで、お父さん達と一緒にパザールに行って選んだクルバンを当日家に連れて帰ってきて。。。

動物が好きで、もうその頃にはすっかり羊さんとお友達になっていた夫は、庭でお父さんや親戚の叔父さんの手によって斬られるところを一緒に見て。。。。 

最初の時は泣いてしまったそうです゚(゚´Д`゚)゚ 

それから数ヶ月はお肉が食べれなかったとか。

でも次の年からは普通に参加できるようになったそうです。


もうすぐ9歳になる弟のほうは、今年で3回目くらいだそうですが、やはり初回は泣きはしないもののやはり怖がっていたようで、そしてお肉もやっぱり食べれなかったみたいですが、もう3回目になるとそんなに怖がっている様子はほとんどありませんでした。

でも、多分ちょっと怖いんだろうなーって感じはしましたが、強がっていました(笑)


私は、もちろんいい大人ですし、人生経験もそれなりにありますし。。。 動物は大好きだし、インターネットで【閲覧注意】はだいたい見れないタイプですが、それでもどうしても行って見ておきたいという気持ちがありました。


夫から聞いていた話では、クルバンを斬るのは指定された場所でないといけなくて、それはだいたい山の上のほうとか民家の少ない場所だと聞いていました。

なので、羊をそこまでどうやって連れて行くの??という疑問があったのですが、当日になってわかりました。

クルバンパザールはもともと、”その場所”に建っていたんです。


4日前に来た時と同じ場所ですが、違いは当日になるとかなり混雑していることと。。。臭いでした。

パザールの時は牧場のような動物の臭いが充満していましたが、当日はもっとこう、「お肉」の臭いがしていました。

私たちはかなり朝早くについた方でしたが、それでもすでにもう始めている人がいました。


そして、ケスメックは本当にパザールの羊達がいる柵のすぐ外側で行われていました。

つまり、まだ売り出し中の羊たちから、買い手がついた後の羊の行く末が丸見え状態です。。。!( ゚д゚ )

でも、その場の空気っていうのは行ってみないとわからないものですが、そんな凄惨な感じでもなく、特別神聖な空気が漂うでもなく、皆淡々と作業をすすめているという感じでした。


嫌がって、目をひん剥いて大暴れするような、そんな光景は無く、悲しそうに啼く声が響き渡るでもなく。


羊は群れで行動する動物ですので、やっぱり群れから離される時に一番暴れます。

柵から出されて連れて行かれる時、人の手を振り払って逃げようとします。

慣れた人を見ていると、後ろ足を掴んで手押し車のように、羊が前足だけで歩いて行くような感じにするとうまく連れて行けるようでした。


簡単に流れを説明しますと、ビニールなどの敷物の上にクルバンを横たえます。

そして、喉元を斬って一気に仕留めます。

この、クルバンが完全に動かなくなるまでのところが「生贄を捧げる」という宗教的な儀式の範囲だと考えられます。

夫曰く、最近ではこの「生贄を捧げる」という本来の意味から外れてしまって、ただ家畜を屠ってお肉を食べるイベントのようになってしまっている節もあるようです。

実際、お肉屋さんに頼んでおいてあとからお肉だけ引取りに行く人もいるようですし、大型スーパーなどではクルバンミートとして、然るべき方法でしめた動物一頭分のお肉も予約販売していたりするようです。



さて、ここで、そもそもなぜクルバンバイラムの日に生贄を捧げるのかという由来について説明したいと思います

(諸説あるとは思いますが、私が夫から聴いて自分なりに解釈した話です)



まず最初に、イスラム教にあまり馴染みがない人は知らない方も多いかと思いますので説明しますと、イスラム教とキリスト教、ユダヤ教は、兄弟宗教と言われています。


すごーく簡単に説明すると、まず最初にユダヤ教がありました。旧約聖書を啓典としています。

そこへ、「いや、私は神様の声が聞こえる。聖書には間違いがあるし、今のユダヤ教がやってることは神様の教えを忠実に守っていない!」と言い出したのがキリストで、新約聖書が出来て、キリスト教が生まれました。

そのまた600年後、ムハンマドが最後の預言者として神の啓示を受けて、今度は旧約聖書も新約聖書も、人間の勝手な解釈で書き直されているから神様が本当に伝えたかったことを一字一句間違いなく伝える、としてコーランができ、イスラム教が始まりました。

(こんな書き方すると、なんかユダヤ教が嘘でキリスト教も間違ってるみたいですが、そういう意味ではありませんよ、もちろんそれぞれの宗教にそれぞれの主張があります)


なので、この3宗教は基本的には同じ神様を信じているし、出てくる天使や預言者も同一人物が多いのです。

そして、この兄弟宗教すべてにおいて、一番最初に神の啓示を受けた預言者とされているのがアブラハム(イスラム教ではイブラヒーム)です。


さて、クルバンバイラムの起源はこのイブラヒームとその息子イスマイルの話に遡ります。


イブラヒームはずっと息子が欲しかったのですが、授かりませんでした。

そこで神様に、どうか私に息子をさずけてくださいとお祈りしていました。

すると、神の使いがやってきて、「お前の願いを神様は受け入れてくれるそうだ」と伝え、その後イブラヒームはめでたく息子を授かることができました。


しかし、それから月日が経ち、息子が立派に成長したころに、また神の使いがやってきました。

「神様がお前に授けた息子、神様に返すようにとおっしゃっている。指定された場所に言って生贄を捧げるのと同じやり方でお前の息子を神様に差し出すようにしなさい」と言われました。


何よりも愛する息子を差し出さなければいけない、イブラヒームはとても悲しみましたが、もともと神様が授けてくれた息子です。イブラヒームには覚悟が出来ていました。

息子のイスマイルにその事を話すと、息子も「もちろん、神様がそうおっしゃるならその通りにしてください。」とすんなりと受け入れました。


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そして当日、決められた場所に行き、息子を横たえ、その喉元に刃物をあてて何度も切ろうとしましたが、どうしても刃物が入りません。

するとまた神の使いがやってきました。

「お前の忠誠心を神様は認められた。息子の代わりにそこにいる羊を捧げなさい。」

ということで、茂みから現れた羊を息子の身代わりとして捧げました。

このエピソードはイスラム教だけでなく、ユダヤ教やキリスト教でも神様への絶対的な忠誠の証、信仰のお手本として語り継がれているそうですが、それだけでなく、感謝の気持ちを忘れないという教えも含まれています。

みな、与えられた時には喜んで感謝するのに、時間が経つと忘れてしまいます。

もともと自分の物ではなかったのに、返せと言われて怒る人もいるでしょう。

イスラム教ではこの話にならって、神様への忠誠心と感謝のしるしとして毎年生贄を捧げることになっている、というのがクルバンバイラムの起源なのです。



さて、それではバイラムに話を戻しましょう。


柵から出されて連れてこられた羊は、各自用意してきたビニールのシートなどの上に横たえられます。そして、羊が暴れて斬り損じないよう、3本の足を紐で縛ります。


この時なぜ3本だけ縛って1本残しているのかというと、当然ですが喉元を切った瞬間即死というわけではありません。


4本全て縛ってしまうと、切られてから命が耐えるまで羊はじっと待たなければいけません。一本の足を自由にしておくことで、その足を動かしてもがくことができます。そうやって必死でもがくことでより早く命が耐えるので、苦しみが長く続かないように配慮して一本の足を残しておきます。


横たえられた時点で、羊は意外とおとなしくなります。

さらに3本足を縛られると羊も覚悟を決めるようです。


次にナイフで切る場所のあたりをやさしく撫でてやります。

するとだんだんおとなしくなります。

おとなしくなってくると今度はお祈りの言葉をかけてやります。

それで羊はほとんど完全に大人しくなります。


そこで一気にスパッ とやるのですが、この瞬間だけはどうしても見ることができませんでした。

スパッとやってから約1分くらいでほとんど動かなくなります。



刃物の切れ味も重要なので、夫のアーミーナイフは前日に刃物屋さんに行ってちゃんと研いでもらっていました。

また、頭を一気に落とすようなこともしません。ちゃんと繋がったままにしておきます。

そして命が絶えたのを確認してから切り落とします。


健康で元気な動物の息の根を、素早く苦しみが少ないやり方でしめる、というのはなかなか難しいことなのだとわかりました。


本当に神聖な儀式として行われているので、生贄の動物にはかなり配慮がされています。

ただ、中には乱暴にする人もいるようで、私は幸い見ていませんでしたが、私たちの近くでケスメックを行っていた家族の羊はかなり暴れていたそうです。残った一本の足だけで体の向きを変えるぐらい暴れたそうです。というのも、切る前に十分にお祈りの言葉をかけていなかったからとか。。。


さて、クルバンが息絶えたあとの次の段階が解体ですが、これにも大きくわけて2段階あります。まず、皮を剥ぐ、そして内蔵を取り出す、ところまでです。

これは吊るして行うのがやりやすい方法で、かなり大変な作業なので私たちは業者の人にお願いしてやってもらいました。

こうして毛皮と内蔵が無くなった状態になると、もう動物の姿からお肉の姿に落ち着いてきます。


この段階で家に持ち帰り、自分の家で各部位に切り分けていく作業をする家庭も多いようですが、私たちはこの場で持ち帰りやすいサイズまで切り分けました。

ここまでのところ、私は見ているだけでした(*´ω`*) あとで私たちの分として分けてもらった脚一本を調理しやすいサイズまで切って、別々にラップにくるんで冷蔵庫に入れるところだけ手伝いました。

でも、自宅に帰る前にまず夫の実家に寄りました。


お肉を持って帰ると家では義母と義妹が朝食の準備をしながら待っていました。

そしていつもと変わらない朝食とチャイ 。。。 の、はずが。。。


やっぱり自分では大丈夫だと思っていてもなかなか。。。食欲がでませんでした。008.gif


病気で体調が悪い時でも食べられるほどの食いしん坊の私ですが、本当に食べられなかったのです。

いつも食卓に最後まで張り付いて食べ続けている食いしん坊の私が全然食べないのでみんな驚いていました。

だからやめとけっていったのにー。。。 と夫には言われるし。

でも後悔はしてないし!!(`Δ´)

これは翌日の午前中くらいまで続きました。

お肉が食べられなくなるのかと思いきや、そうではなくて、たとえば野菜の緑を見ては羊が食べていた牧草を思い出し、チーズやヨーグルトの白は羊の毛を思い出し、トマトの赤が血の赤で、それを口に入れるとグチュッと潰れる感じでもう 。。。 あ。。。あかん。。。(´Д⊂ でした。



お肉に関しては、しめた当日はまだ美味しくないのだそうで、普通は1日以上寝かせてから食べます。


ただし、フレッシュな状態で食べたほうが美味しい部位もあります。

それが肝臓、つまりレバーと、もう一つは胸肉なのだそうです。


けっきょくチャイをすすっただけで終わった朝食のあと、遊びに来ていた子供たちと戯れたりしながら和やかに時間が過ぎ、たまに飲み物を取りに台所に行くと でーんっ とさっきのお肉があるのですが、それにも慣れてきた頃、お昼の時間が近づいてきました。


そして。。。台所の方からジュージューと、お肉を焼く匂いがし始めました。

例の、フレッシュなうちに食べるのが一番美味しい胸肉を、お昼ご飯用にお義母さんが調理しているのです。


いつもなら、 あー、美味しそうな匂い!! なのですが、やはり。。。



そして、シンプルに塩だけで味付けされて焼いただけの、というのもこれが一番お肉の味を楽しめる調理法だからなのですが、羊の胸肉のお皿が目の前に置かれ、子供たちも喜んで食べ始めました。


わたしも わーぃ\(・o・)/! とポーズだけ取りましたが笑 なかなか口に運ぶことができず。。。


だんだんみんな私の異変に気づいて、 あれ?食べないの? どうしたの? と不思議がられw




(;´д`)。。。



頭ではわかっているんです。

殺したからには、ちゃんと食べなきゃ、と。


いつも食べているお肉だって、誰かの手で殺されているんだし。



よし、食べよう。



あ、でも。。。まだ心の準備が。。。



(;´д`)。。。



その時の心境というのは、うまく説明できませんが、「口に入れたら何が起こるかわからない」というような恐怖みたいな感覚でした。

おえっ 

となるのか、

口に入れた瞬間 「どーも、さっきの羊です!」な味がするのか。。。

噛みしめるたびに、さっきの光景が頭の中で再生されるのか。。。


どきどき。。。どきどき。。。



私と同じ心境だったかどうかはわかりませんが、義弟のベラットもまだ食ていませんでした。

でも、ほら、ちゃんと食べなさい、と言われてひとくち食べました。

そして、私に注目が。。。

ベラットもちゃんと食べたわよぉ??(^ω^)

僕もちゃんと食べたんだから、ほら、食べなよー(´∀`)


う。。。うん。。。


そしてついに。。。


実食!!







そのお味は、ここまでちょっと茶化して書いてきましたが、本当のところ、

とっても美味しくて、そして感動しました。(T_T)


その感動というのは、「うわー、超美味しいー♥ 感動ー♥」というものではなく、

その味も、「口の中でとろけるぅー♥」でもありません。


ただ、しみじみと、あぁ、あの羊、私の夫が選んだ元気そうな子。

こんなに美味しいお肉になったんだなー。。。

そう思いながら、まだ新鮮なのでかなり弾力のあるお肉をしっかりと噛み締めると、だんだんと滋味のある濃いお肉の味わいが口の中に広がって、なんだか、感無量の思いでした。


思いのほか美味しかったので、ひとくちだけと思いながら、ぱくぱくと食べてしまいました。


本当に美味しかったです。



そして、初めての屠殺はとても良い経験になりました。

また、改めて、肉食って文化なんだなーと考えさせられました。


こうしてバイラム初日を無事に終え、その翌日は初めて親戚を訪ねてシヴァスへ。。。

シヴァスというのは夫の両親の出身地で、いつも夫から「うちの田舎では。。。」という話を聞いていたので前からずっと行ってみたかったのです。



シヴァスでのバイラム休暇の様子は、また次回へつ・づ・く!



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by araty2013 | 2015-09-29 00:15


Sukhumvit soi 23にあるSerendib Tearoomのオーナー姉妹のブログです!ときどき姉が、ときどき妹が、日々の生活やお店のことをチョコチョコと書いていきます。


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